ポスト基広

私の目標は石田基広である。

このたびその石田先生と共同翻訳をさせていただくという幸運に恵まれた。

その書籍が『Rによる自動データ収集』である。

Rによる自動データ収集: Webスクレイピングとテキストマイニングの実践ガイド

Rによる自動データ収集: Webスクレイピングとテキストマイニングの実践ガイド

試し刷りを一部いただいたので読んでいたのだが、やはり石田先生の訳した章は、他と比較して格段に日本語が読みやすい。

私もこのような日本語が書けるようになりたいものだ。

ところで読んでいて気づいたのだが、石田先生の訳された1章にデータベースについての記述があるのだが、ここは私の訳した7章の記述とまるまる同じではないか。

しかし、気づかずに別々に訳してしまったのである。なんたる二度手間。

気づいていれば石田先生のご負担を減らせたのにと残念に思ったが、ここでまた幸運に恵まれたことになる。

すなわち、石田先生と私が別々に訳した、同じ英文が存在するのである。

これらを比較してみれば、自分と石田先生との英訳の差を見ることができる。

まずは石田先生の訳文:

オンラインショッピング,図書館目録のブラウジング,銀行振込み,またスーパーマーケ ットでの購入など,日常の平凡な活動の背後にはデータベースが存在している.実際のとこ ろ,データベースがどれほど重要な役割を担っているかは一般には知られていない.データ ベースは縁の下の力もちのような存在で,一般の人が操作するものではないからだ.データ が重要な役割を果たす場合,Web 管理者はデータベースを採用する.信頼性と効率性に優 れ,複数のユーザが同時に操作でき,データサイズに実質的に制限がなく,そして遠隔操作 が可能だからだ.

牧山の訳文:

われわれの日常にはいつもデータベースがかかわっている.たとえば,オンラインショッ ピング,図書館サイトの閲覧,ネットでの銀行振込み,スーパーマーケットで果物を買うの にさえも,背後にはデータベースが使われている.われわれはデータベースが重要な役割 を果たしていることにめったに気づかない.データベースは常に舞台裏で働き,直接データ ベースを見たり触れたりすることはないからである.Web サイトの管理者は,データの取 扱いが重要な場合はいつでも,データベースを使おうとするだろう.データベースには,信 頼性,効率性,マルチユーザアクセス,ほぼ無制限のデータサイズ,リモートアクセス可能 といった多くの利点があるからである.

日本語だけを比較しても石田先生のほうがこなれているということがわかる。

原文はこうである:

Simple and everyday processes like online shopping, browsing through library catalogues, wiring money, or even buying a couple of sweets at the supermarket all involve databases.We hardly ever realize that databases play such an important role because we do not interact with them directly—databases like to work behind the scenes. Whenever data are key to a project, web administrators will rely on databases because of their reliability, efficiency, multiuser access, virtually unlimited data size, and remote access capabilities.

最初の文では、私の方はネットに限った話になっているが、石田先生の方は本当に日常生活での話になっている。 たしかにここは悩んだ記憶がある。オンラインショッピングに連なるので全部ネットの話にしてしまったが、 よく考えると日常生活の話をしている。

最後の文では、私は英単語を訳してそのまま並べただけであるのに対し、石田先生は日本語として読める。 とくに原文では「reliability, efficiency」と並べてある部分対し、石田先生は「信頼性と効率性に優れ」と 「優れ」をつけることで日本語として成立するように訳している。 これを私は「信頼性、効率性」と単に並べてしまっている。これではダメだ。

石田基広との圧倒的な差を見せつけられたわけだが、それでも目標とすることについてやめようとは思わない。